2022年9月 ◇◇脳梗塞 発症 1日目 その1◇◇

 

 2020年1月31日夜の8時頃、「つりぃハウス」でひとり映画を見ていました。海沿いの漁師小屋を改装したものです。

 すると、突然、柔道の絞め技を決められたように、意識が遠ざかっていくのが分かりました。中学まで、本気で柔道をやってました。

 宙に浮いたような感覚で意識が遠ざかるのと、我に返って「この不思議な感覚は何だ?何がおこっている?」と、そんなことの繰り返し。私の場合は、痛みなどはなく、むしろ、気持ち良く、恐怖心もありませんでした。

 

 その時の状況は、恐らく、脳に酸素が行かない状態だから、柔道の絞め技と似た感覚だと後から想像しました。「もしも、太い血管が詰まっいたら、そのまま死んでいた?」と考えると、「死ぬのは、それほど怖いものではない」と、恐怖心は薄らぎました。

 

 傍に人がいたら、ここで、異常に気付き、救急車を呼ぶというケースが想定されます。多分、軽度の麻痺ですんでいたと思います。

 一人は気楽ですが、そのリスクは確実にあります。

 死ぬのは怖くないけれど、独りぼっちは、怖いものです。

  

 2022年9月 ◇◇脳梗塞 発症 1日目 その2◇◇

 

 どれくらいの時間が経過したのかは全く覚えていません。

 「このままではいけない」と、我に返り、立ち上がろうと試みました。

 すると、左の手と足が全く、動かず、力が入らない状態でした。

 不思議な感覚でした。恐怖心は、全くなかったです。

 

 

 まず、体を起こそうと何度も試みました。

 左手が正常な状態をイメージして、両手を使って、体を起こそうとするけれど、実際に左手は使えていないから、左から床に頭を何度も、何度も打ち付けました。なぜそうなるのか、意味が分からず、気が動転し、同じことを繰り返していました。あとから、メガネフレームの潰れ方を見て、その時のことが鮮明によみがえりました。 

 赤ちゃんが頭からゴツンと床に倒れ込む感じだと思います。

 

 何度も繰り返した後、無意識のうちに右手だけを使って、起き上がりましたが、忘れて、そのあとも何度も頭を打ちました。頭の重さを痛感し、床に倒れたまま、しばらく休んで、それから、「よいしょ」という感じでした。

 

 左足が使えないことの対応は、1~2回ひっくり返りましたが、比較的早く対応できました。捻挫とかで、片足で歩いた経験は何度かあったからだと思います。右手でつかむところがあり、つたい歩きで、右足だけでバランスをとっていたようです。

 

 

2022年9月 ◇◇脳梗塞 発症 1日目 その3◇◇

 

 血圧は高めでしが、上が130から150程で、産業医の先生の話も、「経過観察は必要ですが、まだ薬を飲むほどではないです」でしたから、自分で脳の病気を疑うことは、ありませんでした。

 

 薪ストーブを導入して、実際に火を入れたのが、数回目でしたから、「一酸化炭素中毒かな」と疑いました。夜中に小鳥が入ってくるような造りですから、冷静に考えると、それはおかしいと分かります。しかし、その時は、冷静な判断はできなかったし、祈るような気持ちでした。

 

  それで、とにかく空気を入れ替えようと、なんとか、伝い歩きして、2~3回、転びながら、なんとかドアを開けたとき、「これで助かった」と。 

 しばらく、ドアのところで、疲れ果て、眠ってしまいました。

 

 しばらくして、寒さで、目が覚め、ベットまでなんとか辿り着くと、熟睡していました。脳梗塞を発症していても、痛みは何も感じず、ただ疲れて、熟睡できるのが不思議でした。脳に痛点はないんだと。