《もぐらの想い①》私は瀬戸の花咲か爺さんになりたい

「小さな定期船に揺られて小島に渡る」感覚は、どんなに近い島でも、非日常的な旅情感を誘い、そこで見る穏やかな瀬戸内の海や田舎の原風景はどことなくなつかしい安心感があって、心地よいです。観光地化されていない、ありのままの牧歌的な小島ですから、「車が使えないので、不便、面倒、何か寂しい」という印象はあるかと思いますが、人造的なものばかりが溢れる時代だからこそ、何もないことが新鮮で落ち着くような気がします。

ここの瀬戸内の海を眺めながら何となく不思議に思ったことは、ここからは水平線が見がえなことです。ほとんどの海の風景は、海と空の境が水平線ですが、ここは、海の向こう側に、瀬戸内の島々が重なり合って、その間をフェリーや貨物船などが行き交う風景です。そして、山裾にに夕陽が沈んでいきます。それが瀬戸内の海なんだと思います。

この島にいて聞こえる音は、波や鳥、虫、蟬の鳴き声など自然の音だけです。時々、船の警笛、ヘリコプター、近所の人の草刈機の音などが聞こえることもありますが、車の騒音などはなくて、総じて、とても静かで、ここで生音を録音するのも結構面白いかと思います。

 

それから、釣り好きなもので、釣りを兼ねて、いろいろと見て回りましたが、海辺というのは、海岸沿いに堤防や堤防道路があって、直接、海に出れる場所は少ないです。津波等のリスクはありますが、そのまま、海辺に出られるのもお気に入りです。

 

街中のライブハウスとは別のものを造りたいという思いがあって、隣接する民家がなく、十分な広さがあり、砂浜に直接面し、海側に夕陽が沈むロケーションを見て、私の音楽の原点、さださんの「詩島(うたしま)」とも重なって、「これだ」って直感しました。手入れには相当の時間と費用を要することは覚悟しましたが、逆に、自分の手で造り上げる喜びの方が強いイメージでした。

年をとったせいか、休日の過ごし方として、お金と時間をかけて遠くへ行って動き回るのは、かなり疲れるもので、近場で、何となく気分が休まり、一日のんびりできるような場所にできたらと思っています。

この場所に顔を出す以上は、現役で歌い続けたいとは思いますが、「自分が・・・」という思いが薄れ、どちらかというと、この手で季節を彩る地味な花々、果実、それから音楽を愛する人達の笑顔の花を咲かせたいという思いです。

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